園長ブログ

子どもと咲く花

保育の醍醐味は、なんといっても先生のものです。

毎日がとても新しくて、きらきらしています。その点、園長といえばお花の世話をするか、えらそうにするか…。

けれど、決まったことがない分、ゆったりとここにいて、あの子、この子に出会えます。

あいまいな存在であるからこそ出会えるあの子のすてき、この子のすてき。

きらりと光る子どもたちの姿を心に留めておきたくて、こうしてコラムを書いてみることにしました。

子どものすてきが、どうか、みなさんに届きますように。

2016.03.21

Kくんの軌跡 ・・・卒園児

 

2歳から入園したKくん。

最初はわからなかった。

 

おだやかな子だなと思っていたが、

専門家は、一目見て、彼の激しい部分を見て取った。

 

その激しさは、年中でマックスとなり、

エンチョウセンセイとも「対決」という言葉がふさわしい出来事がいくつかあった。

今思えば、われわれは、もっと何かできた。

ごめん。

Kくん。

 

年長になって、彼は、次第にこの世界に生きる、ということを自分で調整し始めた。

お泊り保育では、一週間前からお家で不安を言葉に出すようになった。

それを聞いて、大丈夫だなと思った。

到達点を予測して、構える姿勢。

当日は、見事引き締まった表情で登園し、安定した情緒でお泊り保育を乗り越えた。

 

運動会のたいこの役では、練習を自分なりのペースで配分して、

そもそもの才能も生かして、見事やり遂げた。

みんなと一緒の練習を途中でやめても、

本人のなかの本番設定とカリキュラムをなんとなく信じられた。

いつも、彼は、「本番」になると、「本番」スイッチが入っていたからだ。

そのたびに、わかってんだね、と思った。

 

すくすくファミリーコンサートに向かう道のりは、実に順調だった。

本人もとてもやる気で、臨んでいた。

ところが、当日の舞台裏が暗かった。

それが、彼には耐えられなかった。

ただでさえあった不安が、大きく、大きく膨れ上がった。

本番直前、うずくまって「出ない」と震える彼を見て、

本気の恐怖を感じ取った。

「自分で決めていい。でも、あなたがいないとみんなじゃない。

 ここで、聞いてて。」

まさか、こんなことがあるなんて、と驚いた。

 

そして。

みんなの歌が聞こえてきた瞬間、

彼は立ち上がり、走って舞台の上に立った。

 

そこが、自分の生きる場所とでもいうように。

 

お誕生会の司会は完璧で、状況判断して言葉を発する場面もあり、

心底驚いた。

 

いろいろあったね、Kくん。

感性が豊かであり、豊かであるがゆえに過敏であり、

この世界で、耐えることを宿命として生きるKくん。

自分を持て余し、まわりと折り合いをつけ、

前に進み続けるKくん。

 

たくましくて、ハートフルなKくん。

 ずっとずっと、応援しています。

小学校でも、がんばってね。