みんなの前で返事をする、歌い始める、発表する、
何でも出だしと言うものは難しい。
その一瞬を逃すと、ひどく緊張する、ということは誰しも経験があるだろう。
Mちゃんにとっては、それが毎日だった。
それは、とてつもなく大変なことで、
本人も、「もう勘弁。」と、自分のことを思っていた。
けれど卒園式では、ちゃんと自分の足で証書をもらって、自分の夢を語る、
ということを「自分でやり遂げたい。」と思っていた。
決意と共に緊張は続いた。
そして本番、彼女が決めていたことは、
タイミングを逃さない、ということだった。
名前が呼ばれる。
それに続いて、流れる川のように、彼女の声が聞こえた。
はっきりとした「はい」という声。
やったね、Mちゃん。
それから、彼女は証書をもらって、みんなの方を振り向くと、
また流れるようなタイミングで、自分の夢を語った。
子どもというのは、本当にかっこいい。
尊敬する。
せんせいたちは、あなたのやる気と、あなたの決意を、
いつも信じているからね。
また、遊びに来てね。
Mちゃん。