小さな子どもにとって、環境の変化と言うのは、
なかなかに大変なものである。
小さな子どもは、その大変さを言葉にできず、
皮膚感覚で、雰囲気で、心で感じている。
その日、Sちゃんは、ばぁばとお家に居たかった。
自分を守るために、壁をつくる。
動かず、しゃべらず、時間をやり過ごす。
そんなSちゃんと、ちょうちょにシールを貼って、
ちょうちょを作る。
だんだん、目が動いてくる。
これ、Sちゃんにプレゼントするね、というと、
小さな声で「ばぁば。」
と言った。
あぁ、そうね。
ばぁばがいいね。
と抱きしめる。
心が動いたときに、出てくる思い。
それから、二つ目のちょうちょを作る。
今度は手が動いて、一緒にたくさんシールを貼って、
テープもビタンビタンと貼った。
心が動き始める。
そして、こう言う。
「ばぁばに会いたい。」
そうね。
と抱きしめた。
なんとなく、じっとしているのにも限界が来た。
「お散歩行こうか、」と下へ降りる。
私の手を引っ張り始めるSちゃん。
あぁ、ばぁばのところに行きたいんだね。
とてもとても迷っているけど、ほんとは行きたい。
というわけで、
「じゃぁ、ばぁばのお家、教えて、」といって、
外へ出た。
2人で手をつないで、歩く。
なんとなく、2歳の超能力とかであたったらどうしよう、
などと心配する私。
はは。
結局、まわりを一周する。
目の前に幼稚園が広がると、さっと顔がかたまる。
ごめん。
そして、くるっと振り向いてまた歩くけど、
行き詰まり感もあって、
「抱っこしよう、」というとホッとしたみたいだった。
そして、心を一度とめて、あきらめて、幼稚園に帰った。
そんなこんなで、毎日を過ごし、
いまでは、すてきな笑顔が見えるSちゃん。
一日一日。
一歩一歩。
子どものすてき。