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日々わくわく
子どものすてき
きらりと光る子どもたちの姿をみなさんにお届けします。
2016年12月30日
川渡り ・・・年中児

 

川渡り・・・、といっても、

そこは川ではない。

床である。

保育室の。

そして、まわりを囲むのは、

お昼ご飯を食べるテーブルである。

 

そこで、二人は川渡りを始めた。

つまり、テーブルの上に乗って、

6つのテーブルをジャンピングして渡り始めたということである。

まるで、いたずらっこの絵本みたい。

 

しかし、私は黙って見ている。

今日は、怒らん戦法をとる決意でいたからである。

しかし、心では「落ちてみやがれ」と思っている。

 

だがしかし、

彼らは実にうまく、飛んで見せやがるのである。

やがるやがると、品がないが、

絶妙に距離を測り、ムリだと思うと途中で降り、

実にすばらしい曲芸を繰り広げている。

 

私は、黙って箒を持ち、

お当番の子どもたちには、テーブルを拭くのを待ってもらい、

 

「まみこ先生はね、全然、いいと思っていないから、これ。

 全然、いいと思ってない。」

 

とつぶやく。

まわりは着替えをしながら、「そうだよね。」と聞いている。

すると、二人の動きは加速した。

 

しかし、止めないで、箒で掃き続ける。

そして、まぁ、いろんな理由で、彼らは、

保育室から飛び出していく。

 

それから、何度かの攻防があり、ほとぼりが冷めたころに、

一人が戻って来て、お弁当箱をカバンから取り出した。

 

「待てい!」

 

そうは、させるか。

「散々好き放題しておいて、

 お腹がすいたから、はい戻って食べますって、そうはいくか。

 ちゃんと、まみこ先生のお話を聞きなさい!」

 

というわけで、保育室の入り口で、

手と弁当箱を握りしめ合う攻防15分。

観念して話を聞き、「机に上るものではない、わかったか、」

にうなづく一人。

 

別の先生に頼んで待機させていたもう一人は、

待機に疲れたと言って飛び出していき、                            

何度か逃走と追走および捕獲を繰り返したのち、

抱っこにて決着。

結局、抱っこされたいのだから笑える。

 

こんな二人だが、それなりの按配は持っている。

えぇ、これで?と思う人もいるかもしんないが、

友だちが作ったものを壊したりしないし、

それほど、はちゃめちゃな状況はつくらない。

 

彼らの敵は、幼稚園という「学校」である。

それを体現するのは、保育者。

これは、この園ではないところで培われてきたもので、

相当に深い根をもっている。

だから、幼児教育はこわい。

 

自由を奪い、

理由の分からないめんどくさいことを、

強要する大人へのアンチテーゼが、

彼らの行動の根本理由である。

着替えんでもえいやん、手を洗わんでもえいやん、

なんで、歌うたう?なんで、みんなで座らないかん?

そんな、お話、関係ないし。

というわけなのである。

 

そこに共感する子は、結構いたりして、

私はけっこう大変であった。

 

彼らの持つ自然性を、受け入れながら、導くことの大変さ。

「これぞ、子ども」と思いながら、魂の修行が要りすぎの保育業。

心底腹が立ったり、笑ったりしながら一日が飛ぶように過ぎていく。

 

担任って、まっことえらいよね。

 

子どものすてきもあるが、むしろせんせいのすてき。

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