若草幼稚園の子どもたちの学びを導くのは、「憧れ」である。
その対象は、特に年長児。
年長さんのお誕生会の司会は、全園児の憧れ。
この日、年長さんは伝統ある園服を着て、
舞台に立ち、マイクを持つ。
子どもにとっては、大変な誉らしい。
なので、下級生はよく「お誕生会ごっこ」をする。
2歳も御多分にもれず、「お誕生会ごっこ」が大好きである。
この日、砂場でHちゃんとYちゃんがバケツのお誕生日ケーキを作っていた。
そこへ、NちゃんとNちゃんも参加して3個のバケツにいっぱいの砂が入る。
「お腹すいたから、食べたいな。」というと、
「誕生日のケーキやきダメ。」というYちゃん。
「あ~あ、残念!」というと、
「待ってて、順番やき~。」とHちゃん。
少し待っていると、
「はい、みちこ先生の誕生日。」とHちゃんが呼んでくれる。
そこで、食べようとすると、制止が・・・。
「だめ、これで食べるが。」とYちゃん。
大きなスコップを私に渡してくれる。
「いただきま~す。」と食べる真似をすると、
「まだ。歌うき~。」
とまたもや制止が入り、4人でお誕生日の歌をうたってくれる。
そして、お誕生会のように、
「お名前は?」と聞かれる。
「いとうみちこです。」
「おめでとうございます。」
「いくつですか。」
「え~と、・・・。」
という間に、Yちゃんが、
「3歳です。」
と。
そばにいる年中のHちゃんが、
「ぜったい違う」と苦笑しながら首を振っている。
Yちゃん、あなたはきっと大物になりますね。
その断言ぶり。2歳だって、世界は動かせる。
それにしても、2歳のまわりには、いつも温かい空気が流れている。
やさしいお兄さんお姉さんの目も。
春になったら、年少さん。
今から楽しみですね。