Aくんが、舞台の上で自信がなくなって、
ヒーローのジャンプをしなかった。
俄然、「なんとかしてやらんと!」
と盛り上がる園長ドウモトマミコ。
「Aくん、まみこ先生と秘密の特訓や。」
といって、園庭に連れ出す。
技は、ゴム紐飛び越えの術。
ただ、走っていればできる技だが、
遮蔽物のように感じてしまうと跳べなくなる。
そこで、まず地面に白いラインを引き、
ここを走って来て飛び越えるように言う。
もちろん、できる。
そこで、ゴム紐を投入。
と思いきや、ゴム紐がない。
職員室にもない・・・。
本番用のものは、もう、本番用に高さをセットしてあるから、使えない。
どうしよう・・・。
なんとしても、高さを自在に調整できる、彼専用のゴム紐がほしい。
そのとき、なんと、ゴム紐を持っている人が現れたのである。
それも偶然。
うちのお針子Fさんである。
「Fさん、ゴム持ってない?」
「持ってます。」
運命。
なんとすばらしい。
Aくんと私を応援してくれている神様がいる。
Aくんは、自ら高さをどんどんと上げていき、
誇らしげに何度も跳んだ。
そして、本番もバッチシだった。
目的を共有するからこそ、立ち現れる運命の後押し。
運命のすてき。