イケメンという言葉はまだあるだろうか。
イケメンと言うのは、もって生まれた資質である。
彼らは、自意識が高く、プライドが高いので、
人前で何かするということは、たいへん苦手である。
そんな!
失敗したらどうするが!
笑われたらどうするが!
そんなもんありえん!
というわけである。
しかし、友だち関係のなかでは、確固たる意志や態度を示す、
頼りがいのある男となる。
先生の前では、あまり自己を表現しないが、
友だち関係となると俄然生き生きとする、
というのがイケメン族である。
さて、そういう男の一人、Kくんは、
生活発表会への取り組みのなかで、
お母さんにこういったそうである。
「Sくんとか、二つも役できるのってほんとにすごい。
僕なんか、もう、一つで精いっぱいや。」
これは心の声であろう。
他者と自分の違いをこんなふうに分析できるなんて、
さすがKくんである。
だからして、卒園式で一人壇上に立ち、
夢を語る、
なんてことは、もう、ありえんことなのである。
しかし、彼は、実に素晴らしく、
とても滞りなく、それをこなした。
手を挙げて返事をし、
礼をして証書をもらい、「ありがとうございます」といって、
振り向いて夢を語る。
彼が心で思っていることはただ一つ。
「早く終われ」
であった。
実際彼に聞いてみると、
「なんでわかった。」という顔をしていたが、
出番の間中、彼はずっと「早く終われ」と念じていた。
えらいね。
よくぞ、乗り越えました。
きっと、コマ大会での大後悔が、背中を押したね。
あのとき、できなかった思いが、次へのステップを生む。
これからも頑張ってね。
Kくんのすてき。