座って食べない2歳。
渡り歩き、遊びまくる2歳。
「座って食べます。」
「終わってから遊びます。」
まったく聞いてない、2歳。
そして、ケンカが始まる。
うわーん!!
と大泣きで、小さな赤ちゃんの人形に手をのばすRちゃん。
取り合いの末、ゲットしたその人形を、
自分の背中に隠すSちゃん。
Rちゃんは、ほとばしるように全力で泣き、
Sちゃんは、ガンとして動かない。
そばで見る私。
Rちゃんの手が伸びて、
Sちゃんと引っ張り合いになった。
ものすごい力で引っ張り合っている。
Rちゃんは、グングンとひっぱり、
Sちゃんは、梃子でも動かない。
これで破れん人形ってすごいな、 と思う私。
もう、今にも首がちぎれそう。
「お人形さんがかわいそうよ。」なんて言ってみようかと思うが、
この心マックスには、かける言葉もない。
後ろで、なんとも言えない泣きそうな顔で事態を見ているYくん。
みんながこの雰囲気を感じている。
と、Nちゃんが、別のお人形さんを持ってきて、
Rちゃんに、「それ、Sちゃんのよ。」と声をかけ、
「これどうぞ、」と差し出す。
もちろん、聞いちゃいない、Rちゃん。
首を振って、引っ張り続ける。
そこで、Sちゃんに差し出すも、Sちゃんも聞いちゃいない。
するとNちゃんは、もう一度ままごとコーナーに歩いて行って、
別のくまさんの人形を持ってきて、二人に近づき、
2人の様子を見て、「これじゃ、ムリか。」と思い直したらしく、
また、ままごとコーナーに戻って行って、
かわいい!というファンシーなうさぎの人形を持ってきて、
2人を交互に見ながら、その間にくまさんとうさぎさんの人形を置いた。
2歳でも、心マックスのなかでは、こんなことが生まれてくる。
大人の想像を超えた、けれど人としての自然な営み、
とりなすことや、間に入ることが、
こんな小さな子どもたちの間で、生まれる。
この後、ものすごい引っ張り合いの末、
Rちゃんがその人形を手にし、Sちゃんは、ため息をついて、
Nちゃんの持ってきたうさぎの人形を抱いた。
そっか。
泣くんじゃなくて、もういいやって思ったんだね。
そこで、鬼の園長ドウモトマミコは、
「二人とも、お弁当食べてません。」
とそのお人形たちを取り上げたのだった。
せっかく折り合いをつけたのに!
大泣きするSちゃん。
そのSちゃんを抱っこして、
「Sちゃん、えらかったね。
がんばって、うさぎさんにしたんだね。」というと、
「うん」
とうなづくSちゃん。
「Rちゃんもお人形持ってないからね。
えらかったえらかった。
さぁ食べよう。」
と(なんとか)なぐさめ、
Sちゃんは、残りのお弁当を食べた。
なすは残したけどね。
そして、二人ともお弁当のあとは、
すっかり人形のことは忘れて笑っていた。
心マックス。
ケンカのすてき。