Hちゃんも、3日目にたくさん泣いた。
門のそばで、出ていきたいと泣く姿を見て、
一緒に旅に出ることにした。
彼女は、私に抱っこさせなかった。
一人で歩く気持ちだったけれど、
やっぱり手を差し出すと、小さな手でにぎってきた。
とことこ、とことこ、と歩く。
お父さんとお母さんに会いたい、というただそれだけの思いで、
知らない道を知らない人と歩く、Hちゃん。
とことこ、とことこ、という歩みに合わせて歩いていると、
Hちゃんの、その純粋で、必死な思いが伝わってきて、
抱っこさせない独立心と孤独に前を進むかっこよさに、
敬意のようなものを感じた。
園指定の駐車場にたどり着き、そこを抜けて、
左の道を選び、彼女は、まっすぐまっすく、歩いて行った。
車がたくさん走る道路で行き止まりになり、
立ち止まる。
しばらく、二人で黙って立った。
それから、私がしゃがむと、手を引っ張って、「立て。」と促した。
ほっといて、ということだろう。
また、二人でしばらくたたずむ。
それから、私はHちゃんに、
「お父さんとお母さん、いないね。」と声をかけると、
「うん。」とうなづいた。
「Hちゃん、迎えに来てくれるから、幼稚園で待ってよっか。」
というと、
「うん。」とうなづいた。
「おんぶしよう。」と背中を出すと、首をふる。
でも、した方がいいなと思い、
「いいよ、おいで。」というと、おぶさってきた。
そこで、抱っこにして、二人で園に帰った。
門に入ったとたんに、やっぱり違う、と大泣きする。
そして、外へ出ようと身体を傾けるので、
「もう一回行く?」と聞く。
うなづくので、一緒に門を出る。
今度は「抱っこ」と言って来た。
それで、出発するけれども、
5歩くらい歩いて、「やっぱり、幼稚園で待ってない?」と聞くと、
「うん。」とうなづいた。
結果は同じと予測できたのだろう。
お部屋に行きたいというので、お部屋で一緒にままごとをして遊んだ。
あきらめの先に、楽しい生活があるように、
先生たち、頑張るからね。
Hちゃん。
一緒にたくさん、遊ぼうね。
子どものすてき。