知らぬ間に私の帽子をぶんどったLくんが、
職員室の奥に立てこもった。
「こりゃ、あけなさい。」
「いやだ。」
「あけて。」
「いや~。」
どうやって、鍵しめた?
背、届くの、ここ、と思いながら、
「よっし。そうかそうか。
じゃぁ、まみこ先生は、みんなとおらんなります~。
知らん人が来ても、気をつけてね~。
ぜったい開けちゃだめよ~。」
といって、去るふりをする。
「いやだ~。」
「あけなさい。」
「あかん~。」
「あかん?開けれんの?
「うん~。」
まったく、何をしとるのかね。
どうするつもりやったの。
というわけで、スプーンで表からほっそいネジをまわして、開けた。
笑顔で出てくるLくん。
子どものすてき。
ですかね。