その次の日。
彼女は、前向きに荷物に取り組んだが、
途中で気を取られることがあり、
荷物をほっぽる。
「Sちゃん。
まだ、残ってるよ。」
と声をかけるも、
「いやだ!」
の一点張りである。
「ほ~。
ほんなら、まみこ先生やってしまうで。
いいの!
あ~あ。
やってしまうきね。」
と言って、やってしまう。
それから、しばらくして、
Sちゃんが帰ってきた。
荷物がない。
という目で、床を見ている。
あ、やる気やったんや。
しまった。
と思いながら、
「ごめん。Sちゃん、してしもうた。」
と謝る。
すると、彼女はGくんの荷物を俄然手伝い始めた。
「これは、こうで、こうでね。」
とまるで、教えるかのように、やっている。
Gくんには、大きなお世話であったが、
Sちゃんは、「自分でする」という気持ちを、
そんなふうに、表したのだった。
悪かったな。
すると、Sちゃんがやってきて、
「お手伝いしてきた。」
と言って、にこっと笑った。
「そっか。
ごめん。Sちゃん。」
と、目の前にあるお腹を触る。
すると、Sちゃんは、何とも言えん顔をした。
した気になったのに、そうはさせてもらえなかった顔である。
一筋縄ではいかない、荷物のすてき。