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子どものすてき
きらりと光る子どもたちの姿をみなさんにお届けします。
2024年4月30日
ポケットに見える心 ・・・5歳児

体調を崩して担任の先生がお休みだった日のこと。

Jくんが登園してきた。

 

うむ。

きっとショックを受けるだろう。

予告モードで挨拶にいく。

 

「Jくんおはよう。

今日さぁ、朝、T先生から電話があってさ~。

ガラガラ声で、しんどそうに。」

 

Jくんは、ふんふんふん~と、

いつも通りに多少照れながら、お母さんと階段を上がる。

 

「それで、熱があるから、今日お休みするんだって。」

 

と言ったととたん、ピタッと動きを止め、

大粒の涙をポロポロと流し、

「もういやっ。帰る!幼稚園大嫌い。」を連発し始めた。

 

これは、長期戦が予想された。

 

最もJくんのことを理解しているお母さんに任せるモードで、そばに立つ。

お母さんは、少しずつ少しずつ、彼をクラスへと導いてくれている。

 

こんなことも言ってくれた。

 

「よし、わかった。お母さん、早く迎えに来るから。」

私はこれを聞いて、早く迎えに来るのかなと相槌を打とうとしたが、

「それで、Jくんのこと、待ってるからね。」

と続く。つまり、早くに来てくれるけれども、最後まで頑張ろうということである。

そこで、「じゃあ、さよならして階段下りてきたらすぐママが見えるよ。」

と合いの手を入れる。

すると、お母さんもそれを受けてくれて、

「ちゃんと、階段からお母さんが見えるように、ここに立ってるからね。」

と言ってくれた。

 

ありがたい。

 

そうして、すったもんだしながらクラスに入るJくん。

さて、そこで身支度がある。

身支度をするということは、幼稚園で過ごすということの証である。

もちろん、Jくんは葛藤する。

 

すると、お母さんが「Jくんの気持ち、みんなの先生が分かってくれてるからね。Jくんが淋しいってことも、頑張ってるってことも分かってくれてるよ。」と声をかけてくれた。

 

この言葉が、私の心に浸みた。

きっとJくんの心にも浸みたであろうし、こんな言葉が必要な子がたくさんいるだろうと思った。

 

そういうわけで、Jくんは、おたよりばさみをカバンから出し、それを入れるポケットに向かった。

さて、彼はポケットにそれを差し込もうとする。

そのなんとゆっくりなことか。

そーっとおたよりばさみをポケットに近づけていく。

そんなんだから、思わず、お母さんも私も固唾をのんで見つめてしまうではないか。

 

それで、1㎝くらい端を入れて、おい~と息を吐いて出すJ氏。

思わず、笑いが起こる。

 

それでまた、そーっと近づけて、おい~っと出す。

あああ~とずっこけるお母さんと私。

 

そうして、「あとちょっと、落としてくれ~そこにすとんと!」

という私たちの視線をよそに、おい~っとまた出すJ氏。

これが、彼の心そのものだろうと私は思った。

それほど、いつもと違うことが彼にとっては大事件であり、勇気がいる出来事なのである。

 

ここまでで、およそ30分以上たっていたので、ひとまずお母さんに感謝しながら、他のこどもを見に行く。

戻ってきたら、おたよりばさみはポケットに入っていた。

そして、彼も覚悟を決めたらしく、そこから先はすんなりとお別れができ、

彼は、多少警戒心丸出しの動きをして、時に2階からみんなの様子を眺めたりして一日を過ごした。

やはり、最初の勇気と切り替えが大切だったわけである。

 

そうして、帰り、Jくんと手をつないで階段を下りていく視線のまっすぐ先に、

すてきなお母さんの笑顔があった。

 

ありがたい。

本当にお母さんに助けられた朝だった。

 

お母さんは、「Jくん、大丈夫だったね。先生いなくても、ちゃんと頑張れたね。」とお話していて、私も大同調したのだった。

 

Jくんとお母さんのすてき。

 

 

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