みちこ通信を始める前に、一つ告白をしよう。
本園では、うさぎを飼っている。
なのに、名前がない。
・・・。
私が学んできた文化では、休みの日にも、
保護者と一緒に子どもが世話をしに来るのが、動物の飼育である。
しかし、なんというか、それは、うちの園的にはちょいと難しい。
というわけで、これまで子どもたちの当番制度はなく、
うさぎは、新入園児のアイドルであり、
4月には超人気で、9月には、そうでもないという存在であり、
一昨年は、穴を掘って脱走をしまくり、
保育者の帰宅時間を2時間遅らせた存在であり、
名前がついていない存在であった。
去年、福島の幼稚園にお邪魔した時に、
同じうさぎがいたことに感動し、
「うちにも、うさぎがいるんだ。」というと、
当番をしていた子どもたちに、「ほんと!なんて名前?」
と弾んだ声で聞かれた。
「 ! 」
・・・。ない。
激しくコンプレックスを刺激された私は、
なんとウソをついた。
というか、私がひそかにつけていた名前を、一羽だけ答えた。
そして、これはそれなりに問題であろうと考えた結果、
はと組で、当番活動をすることにした。
前置きが長くなったが、これからのみちこ通信は、そのお話である。
みちこ通信
まっくろいうさぎ3羽には、まだきちんとした共通の名前がないので、
子どもたちは、「うさちゃん」、「うさこちゃん」と子どもなりに呼んでいる。
園長先生が、「うさぎにもちゃんと名前をつけてあげるといいね!」
と言っていたことを伝えると、
「うん、みんな名前があるもんね!」
というKちゃんの一言で、名前を考えることになった。
「うーん。Aくんがいい。」
とAちゃんが言う。
Aくんは、2歳のAくんである。
すると、周りにいたAちゃんやRちゃんも、
「そうしよう!」「うんいいね!」
と口々に賛成する。
私が、「Aくん、Aくん、」と呼んでみると、
Yちゃんが「そんなに呼んだら、うさぎじゃなくて、Aくんが来るで~。」
という。
待ってました。
「うん、先生も呼びながらそんな気がした~!」
というわけで、話し合いの結果、
人の名前だと間違えたらいかんから、違う名前をつけることになった。
うさぎ小屋に集合して、うさぎを見ながら、
思いつくままに、「メロン」「レモン」「リボン」・・・、
と好きな果物やキャラクターなど、名前を並べていたが、
「リボンちゃん」と呼ぶと、
一羽のうさぎが返事をしたかのように背を伸ばした。
「名前を読んだらわかったがや!」
と子どもたちが大喜びする。
次に、「ピョンちゃん。」と呼ぶと、
なんとピョンと跳ねた!
なんてタイミングよく動いてくれるうさぎ。
次に少し大きめでおでこに白い毛のあるうさぎ
(園長はひそかに三日月とつけていたが)を、
「メロンちゃん」と呼ぶと、大きな欠伸をして反応してくれた。
というわけで、3羽のうさぎの名前は、
リボンちゃんとピョンちゃんとメロンちゃんになった。
うさぎの名前が決まり、当番で子どもたちがエサをあげたり、
水を変える仕事をすることになった。
新しいお水をうさぎ小屋に入れると、うさぎが飲みに来た。
「先生、ピョンちゃんが水飲んだ!」
と嬉しそうにいう。
「先生もうさぎがこんなにおいしそうに水飲むの初めて見た。」というと、
「うん、よかった。」
とうなづく、3人のお当番さんでした。
うさぎとのかかわりが、また一つ、はと組の生活を豊かにしてくれるでしょう。
よろしくお願いしますね。