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子どものすてき
きらりと光る子どもたちの姿をみなさんにお届けします。
2017年3月30日
号泣の先へ 1日目 ・・・年長児

 

卒園の季節。最後に、みんなが自分の絵を描いて、壁面に貼る。

描かないわけには行かない。

だから、描きたい。

でも、自信がない。

だから、手が動かない。

なんとか、輪郭は描いているが、目が描けない。

割りばしペンを持ったまま、どうしても動かないその手を見て、

引き受けることにする。

何回でも描ける、別の紙をもらう。

 

はい、マルを描いて、○を。

マルのなかに、○を描くが。

こうよ、こう。

 

そういうわけで、大きな丸を描き、そのなかに、小さな丸を二つ描く。

形の組み合わせで、顔ができるのだということを伝える戦法である。

ところが、目の丸が思うとおりにできなかった。

 

「ちいさい~。」

と号泣する。

 

突っ伏したので、顔が墨だらけ。

涙と一緒に、墨をふく。

お、よく墨が取れるな、なんて、思いながら、

 

また、描いたらえいやんか、

はい、マル描いて、マル。

そのなかに、マル描いて、それから、こう。

と目ん玉も描いて見せる。

 

また、気に入らないで号泣する。

いすから、崩れ落ちて泣く。

 

泣きよっちゃ、できんで。

はい、描いて。

なに、泣きゆうが。

はい、やってみ。

 

というわけで、

号泣しながら、鏡を見ながら、私の描くモデルを見ながら

3回も描いた。

私は、パターン化させることを目的としてごり押しをしながら、

そのごり押しを号泣しながら受け止め、

止めようとしなかった彼の心に、

「描きたい」という強い気持ちを感じ取った。

 

輪郭と目と口とまゆ毛は描いたが、

鼻は、私の提案するよくある描き方が腑に落ちなかったようで、

描かなかった。

「落書きいっぱいする~」と泣いた。

これは、本番じゃないと言いたかったのだろう。

そして、最後に口を描いたところで、

もう、いっぱいかなと思い、

「また、明日やろうか。今日はここまでにしよう。」

というと、泣きながらうなづき、

その絵をぐしゃぐしゃに丸めようとした。

 

「やめて、それ、まみこ先生にちょうだい。

 いいよ。すごく上手。何がいかんの。

 まみこ先生は、これ好きやから、ちょうだい。」

 

といってもらうと、少し、和らいだ。

だが、治まらず、うわーんと、床に突っ伏して泣いた。

 

おいで。

と膝に抱いて、抱きしめる。

彼は、ぎゅっと私に身をあずけて泣いた。

「えらかった」とほめる。

担任も、「先生やったらやめてたかも。」と言って、

彼をほめる。

 

そして、明日また描こう、という私の提案に、

涙を浮かべながらうなづいた。

 

担任の話では、妙にすっきりしており、

明日にやる気を見せていたという事であった。

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