HちゃんとYちゃんが、置いてある○△□などの画用紙の形を、
さらに好きに切って、台紙に貼って遊んでいる。
2人の集中ぶりは、まさしく平行遊び。
Hちゃんは、切ることに思いを寄せ、
Yちゃんは、貼ることに思いを寄せている。
そうして、45分以上、取り組んでいる2人。
思い思いに、試行錯誤を重ねている。
私はその様子がとても興味深く、ずっと見ていた。
時々、テープの順番が重なって、
譲り合ったり、支え合ったりしている。
そうして、Hちゃんが満足してその場を去った。
Yちゃんが一人残り、続けている。
ん?
泣いている?
なんだか、とっても悲しそうなお顔。
だから、手元がおぼつかなくなって、
テープが張れない。
もっと、悲しくなり、涙が落ちた。
「どうしたの?」
ポロポロと涙がこぼれ、グシグシとそれを拭くYちゃん。
「Hちゃんが、いなくなって、淋しくなった?」
と尋ねると、「うん。」とうなづく。
そして、黙っている。
「お母さんに、会いたくなった?」
と尋ねると、はっきりと「うん。」とうなづき、
声をあげて、泣き始めた。
Yちゃんを抱っこして、出来上がったコラージュを見る。
「これ、おかあさんにプレゼントする?」と尋ねると、
「うん。」といった顔が、明るくなった。
裏に、「おかあさんへ」と書くと、
「おとうさんにも、あかちゃんにも。」という。
「あかちゃんの名前はなんていうの?」
「なーちゃん。」
「じゃあ、なーちゃんへ、も書こう。」
なんていい子なんだろう、と感動しながら、
おかあさんへ、おとうさんへ、なーちゃんへと名前を書き、
最後にYより、と書く。
Yちゃんに、笑顔が浮かぶ。
それから、まだ終わってなかったコラージュを、
「これ、まだ続きする。」と言う。
いいなぁ。
終わってないって、わかってて、そのままにしない姿。
それから、彼女は、何度も何度も、私を見ながら取り組んだ。
集中してるといったって、
ちゃんと子どもには、孤独とか孤独じゃないとかあって、
いつでも、受け手を必要としている。
そんなことを感じたできごとだった。
それから、担任の先生も横に来てくれて、
ずっと見守ってくれた。
他の子が何か言ってきても、
「ちょっと待って、Yちゃんのこと見てるから。」
と先生が言うと、
Yちゃんの顔に花が咲いた。
できあがると、Yちゃんと先生は自然にハイタッチして、
一緒にカバンにしまいにいった。
Yちゃん、毎日がんばってるんだよね。
せんせいたち、ちゃんと思ってるからね。
ちゃんと迷わないで、待ってるからね。
Yちゃんのこと。
子どものすてき。