病院の会計を待つ間に、レストランで食事をする。
後ろに、3人の親子がやってきた。
お父さんと小学1年生くらいのお兄ちゃんと年中さんぐらいの女の子。
お父さんのこんな声が聞こえてきた。
「ご飯の前にケーキなんか食べたら、お腹いっぱいになっちゃうよ。」
「やだー、ショートケーキがいい!!」
「ショートケーキって、上にいちごがのっかってんだよ。」
「ラーメン食べる?
・・・。」
しばらくすると、何か明るい店員の声が聞こえた。
「ショートケーキです。」
頼んだのか!“
そして、お父さんはこういっていた。
「ほらぁ、なんでイチゴ嫌いな人が、ショートケーキ頼むかなぁ。」
なに、イチゴが食べれんのか。
「ほら、ここのスポンジのところ食べなよ。」
「あ、ここもイチゴ。」と女の子。
おそらく、スポンジの間だな。
「ほらぁ、なんでイチゴ食べれない人がショートケーキ頼むかなぁ。」
とお父さんが繰り返し、お兄ちゃんは、
「イチゴ食べれない人は、ショートケーキ頼む権利ないよね。」
と言っている。
お兄ちゃんは、真面目らしい。
しかし、娘はどこか底抜けに明るかった。
「うんこ。」
とか言い出すので、
「やめなさい。
他に食べてる人がいるんだから、
そんなこと言わないの!。」としっかり怒っていたが、
また、「うんこ」を繰り返したときには、
少し笑って、
「なんで、そんなこと言うかなぁ。」と言っていた。
好奇の視線を投げるのは忍びなく、
私は、背中越しに声だけであらゆる想像を膨らませていたが、
席を立つときがチャンスとばかりに、そちらに視線を向けた。
そこには、切り刻まれたショートケーキと、
お父さんのラーメンの麺だけを、
レンゲに乗せて食べている女の子の様子がちらっと見えた。
この時だけだから的なお父さんの無責任さと、
娘の実に単純な明るさが、心に残った。
家族のすてき。