半ば餌付けされてしまった若いイノシシが、
呑気に昼間出てくるようになってしまい、
厳戒態勢をとっている若草幼稚園。
保護者の方も、いろいろと考えて下さり、
本当に、心強い思いをしている。
そんななか、Kちゃんのお母さんが、
こんな思いつきを話してくれた。
「先生、メリケンサックがいいと思って。」
メリケンサック・・・。
あの、メリケンサック。
「あれで、がん!と。
イノシシだけじゃなくて、子ども守るのにもいいと思って。」
ほぉ。
だが、それができるかどうか。
むしろ自分の腕の骨が折れるんじゃ・・・。
と考えていると、
「だけど、だんながそれだと捕まるぞって。」
「あぁ。ははは。
銃刀法違反みたいな感じで。」
「そう!
それで、N先生にも話したら、
お母さん、私たちも笛とか持ってるから大丈夫ですよ!
って、言ってもらって。」
「ははは。」
「それで、家で笛とか探しよったんやけど、
これしかなくて・・・。」
と取り出してくれたのが、
100均的ハーモニカ的笛であった。
吹いてみると、
大変メルヘンな「ファ~~」
という音がした。
驚くというより、なごむね。
「これで、ファ~~っていったら、
ぞう組がどこにいるかわかる!」
と、唯一無二の笛の音に聞きほれたわけであった。
お母さんのすてき。