息子が東京に旅立つことになった。
それは、そんなに晴れ晴れしいことでもなかったから、
彼は、自転車で東京に行くことにした。
ほんまに?
山道でパンクとかしたら・・・、
とか、いろいろ考えると、とても心配だったが、
毎日毎日懲りずにケンカを繰り返していると、
私の心配事は、むしろ、ざまぁみやがれ、
という、考えるだけで愉快なものに変わっていった。
とはいえ、歯ブラシとか湿布とか、傷パッドとか、
いろいろ準備はしてみた。
ところが、結局ホテルに泊まったから歯ブラシはいらなかったし、
湿布を貼ると汗でぐしょぐしょになって、
すごく気持ち悪かったし、
お母さんが用意したもので役に立つものは、
何一つない!
と断固たる口調でわめいていた。
ただ、携帯用トイレットペーパーは、
花粉症で、すぐにティッシュがなくなったから、
役に立ったらしい。
「トレットペーパーとしては、使ってないけどな!」
と、得意げな注釈を忘れなかった。
ちなみに、出発の日は、ちゃんと早起きして、
サンドイッチとおむすびを作り、
前の日に剥いてもらった文旦を準備していたのだが、
見事に全部忘れていった。
そんなわけで、よかったのは最初の2日くらいで、
あとの4日間は苦行でしかなかったらしい旅を終えて、
彼は無事東京に着き、一人暮らしを始めている。
若さを100%謳歌し、
はちきれんばかりのエネルギーで、
生きているところが、
彼の良さである。
息子のすてき。