僕は、毎朝決まった時間に、白い建物に向かわなければならない。
エントランスを抜けると、自ら定められた檻に入る。
扉は開いているのに、出ることはできない。
出ようと思えば出れるのかもしれないのが、
その後のめんどくささを考えると、
到底そんな気にはなれない。
入ったら、いったん解放される時間まで、
じっと待つしかない。
およそ8時間。
毎日毎日、檻に入る時間は8時間。
長すぎる。
この砂漠のような時間を、
自然に自分をまとうモードで、テンションで、
やりすごす。
それは、自分であって、自分でない。
だが、心地悪くはない。
僕は、うまくやっている。
なぜ、彼はこの檻で、屈託なく笑うことができるのだろう。
檻じゃないのか?
同じ時空間を過ごしているのに、
僕にとってここは檻で、
彼にとってはパラダイスのようだ。
あと少し、あと少し我慢したら、
この檻から出られる。
解けない疑問の世界。