最近、文字の習得と言うのは、
さまざまな能力の総合であることが、よくわかってきた。
そしてそれは、
私たちが、自然と遊びのなかで身に着けていたのだ、
ということも、よくわかってきた。
今回は、「一文字につき一音」のことについて考えてみたい。
例えば、「あ」という字が「あ」と読めるようになるためには、
この形と音声がつながっていなければならない。
つまり、一つの形に一つの音。
これが分からないと、文字が読めるようにはならない。
これを、確かめ確かめ読んでいるうちは、
絵本を自分で読んでも、まったくおもしろくない。
なぜなら、流れるように言葉が頭に入ってこないので、
情景をイメージできないからである。
例えば、「りんごの木がありました。」という文章を、
「りぃ・・・・、ん・・、ん?
ご~・・・。」
と読んでいては、何のことか分からんのである。
したがって、読む練習を絵本でさせるのはよろしくない。
絵本は、物語をイメージするものであり、
一つ一つの文字を読むためのものではない。
そういうわけで、すらすら読めないうちは、
是非、絵本で練習はやめてあげてください。
そして、小学校に行っても、ずっとずっと、
読んであげてほしいです。
その昔、「自分で読んだって、何のことか分からないんだよ!」
と、お母さんに叫んでいた5歳児に出会ったことがある。
隣で聞いていて、えらく納得した。
そういうわけで、まずは、読めるようになるためには、
一つの形に一つの音。
これを私たちは、小さい頃ジャンケン遊びでやっていた。。
「パイナツプル」、「チヨコレイト」、「グリコ」って、
ジャンケンで勝った人が、その言葉の数だけ進めるというあの遊び。
あれで私たちは、身体を通して、
一つの文字に一つの音を自然に学んでいた。
そして、小さい「ツ」とか「ヨ」なども、発音としては一緒くただが、
じつは独立した文字であることを自然に学べていたのである。
何という、ハイレベルな遊びだったのか。
「しりとり」だって、終わりの一文字が分からないとできない。
暇つぶしにやっていたことが、
実はとても大事なことだったと分かるにつけ、
ゲームと動画の世界に浸る子どもたちに、
不安を覚えるのであった。
せんせいのすてき。