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日々わくわく
せんせいのすてき
毎日踏ん張り頑張る先生たちのすてきを綴っています。
2025年4月20日
連係プレー

お片付けの時間というのは、何か起こる時間である。

特にこの季節、すなわち、新しい環境に身を置く季節は、

まっこと、何かが起こる。

 

物事は、気ままにそのままに進んでいることが心地よい。

それが、遊びの時間である。

しかし、その快適な自動性にストップがかけられ、

快適な遊びの時間からお片付けの時間へと、

外側から「やるべきこと」が課される。

これは、子どもにとって、一つ大きな出来事である。

 

さらに、お片付けは次の課題へと永遠につながっている。

お着替えをして、手洗いうがいをして、お弁当の準備をして、

そして、食べるのである。

「食べる」もまた、子どもにとっては一苦労だ。

 

つまり、快適な遊びから生活への移行の時間は、

子どもにとって、まぁまぁ、気力がいるのである。

これについて、無言の抵抗をする子もいるし、

隠れて遊んでいる子もいる。

だが、大概の子どもは、「それはそうですよね」と受け入れて行動する。

 

そんな中、S氏は、このザワザワとした雰囲気に対して、

ザワザワと表現する。

おそらく、「わからん!」ということであろう。

部屋に入るなり、さっそく積み木を盛大にぶちまける。

 

「おれは、そんな気分じゃないぜ~。」

なのか、

「みんな、何をわちゃわちゃやっているのさ~。

何が何やら、分からんじゃないか~。」

か何かわからんが、

 

どの保育者も、この場面に会えば、「おのれ」と思うであろう。

これから秩序空間へ向かおうとするこの時に、

よくも混沌を生んでくれたな、というわけである。

 

そんなわけで、「それするやったら、外へ行くで。」と、

有無を言わさず、外に連れ出す。

そして、積み木は速やかに片付けてもらう。

 

さっそく遊びだすS氏。

私は、パンジーの枯れた花を摘み始める。

こういうときに大事なのは、子どもと一緒には遊ばんことである。

好きにさせるが、心は共にしない。

これを、縁側保育と名付けよう。

 

そうすると、たいてい寄ってくる。

そして「何しゆうが?」と聞いてくる。

そして、「ぼくもやりたい。」と言ってくる。

 

そういうわけで、一緒にパンジーを摘み始める。

「うんうん、上手上手。」とほめながら、共同作業する。

私が、枯れた花を目立つように示していき、

彼はそれをツプンと取る。

なかなかおもしろい。

 

そして彼は、近くにいた先生に、「これ取りゆうよ~。」と話しかける。

その姿を見て、「認めてほしいんだな」と思う。

20回くらいしただろうか。ちょっと疲れが見え始める。

「これ、N先生とH先生に持って行こうか。」と投げかける。

最初は、やだ、なんて言っていたが、やっぱり持って行きたい。

そういうわけで、彼の手の平にいっぱいのパンジーを乗せる。

たくさんあるので、小さな手の平に入れるのはなかなか難しい。

だが、これは「成果」であるから、何としてもいれなければならない。

 

ここでも、私と彼の共同作業が起こる。

こんな、目的を一緒にした小さな共同作業がとても大切である。

 

そして、クラスに戻った、

すると、N先生が「おかえり~。」とSくんを迎える。

この「おかえり」が何よりも大事である。

Sくんは、ほい、と手を上にあげて、自分の成果を見せる。

「わぁお、すごいね~。」とN先生は反応し、

「それ、入れ物用意するから、それに入れてH先生に見せようよ。」と受けて、

二人で保育室に入っていった。

 

あなたは、このクラスの一員よ、という「おかえり」と、

どんなときでも、その子の成果とその気持ちは受け取るということ、

 

これを大事にしている若草幼稚園の連係プレーであった。

 

せんせいのすてき。

 

 

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