今を生きる子どもの呼吸は、深い。
空気を身体のすみずみまで送り、
吐き出す。
新しいことを全身で受けとめ、前へ前へと進んでいく。
その存在の輪郭は際立っており、
全てがダイナミックで、瑞々しい輝きに満ち溢れている。
私の父も、今を生きている。
自ら動くこともできず、話すこともできない。
一日に一度の食事は、フルマラソンに匹敵する。
「なぜ、生きているのだろう」と、
答えのない問いに苦しみながら、
時を紡いでいる。
彼に必要なのは、静けさである。
一日、一日が、少しだけ変化を帯びて、終わること。
そうして、永遠ともいえる時間が静かに流れていくことが、
彼を生かす道である。
生きるかたちのさまざま。
躍動し、輝く命と、
静寂と永遠のなかに向かう命。
人のすてき。