2歳のHくんが、お父さんとお別れして、
私に抱っこされる。
最近お別れが、ちょっと寂しい。
彼の抱っこのされ方はすばらしく、
がしっとくる。
彼は、大型遊具の設置工事の方を向いて、
はっきりと、
「しゃありせん、じゃー」
といった。
はい?
しかし、彼はまた、「しゃありせん、じゃー。」を繰り返す。
その迷いのないまなざし。
「うん?
うん。ショベルカー?」
「しゃありせんじゃー。」
・・・。
と、遥か彼方に詩織先生が見えた。
詩織先生か!なるほど。「しゃあり」は「しおり」だな。
「じゃー」は、「だぁ」か?
「しおりせんせいだぁ」と言ってるのだね。
自分の先生を見つけて、そんな風に、ロックオンするなんて、
すばらしく素敵なことだな。
「しおりせんせい!
しおりせんせいだね~。
しおりせんせいのところ行こうか。」
というと、満面の笑みでうなづいた。
そして、今さらのように、
「父さんは?」という。
「お父さん!お父さんは、お仕事行ったがな。」
(さっき、さよならのタッチしたがな)
というと、
「わははは。」と笑った。
笑うのね。
それはよかった。
そして、彼は、「しゃありせんせー。」とかなり遠くから呼んだ。
すると、詩織先生の肩がぴくっと動いた。
すごい。
スマホの着信より、すごい。
私は、彼を抱っこしたまま、近づいていき、
彼がもう一度、詩織先生を呼んだときには、
もう、詩織先生のまなざしは、彼に向けられていた。
そして、彼は、詩織先生に抱っこされた。
大好きな先生のもとへ。
先生のアンテナってすごいね。
その開かれた感覚。
子どもへの愛がつくる専門性。
せんせいのすてき。