寿命に近づいた大型遊具を、新しくすることになった。
今回お願いした業者とは、
ひょんなことから始まったご縁であった。
先方は、仲介業者が本気になってくれんので業を煮やし、
直接ひょっこり訪ねて来てくれたところに、
ひょっこり私もおったのであった。
そのときの、パンフレット等のセンスの良さと、
遊具を足したり引いたりできるところに魅かれ、
話が始まった。
こちらの教育に対する考え方にも共感してもらい、
私もまた、理念のある会社経営に共感し、設計がはじまった。
私の要望は、園庭になじむもの、
他の遊びとの連続性をもつもの、であった。
第一回目の設計は、
案の定、そこで世界が完結しているものであった。
こういう、すばらしい遊具メーカーは、
すばらしい遊具を作りたい。
しかしそれは、園庭にお城がたつようなものである。
子どもにとって、大型固定遊具で遊ぶのと同じように、
泥や砂で遊ぶことも大切であり、
鬼遊びやドッジボールや、竹馬や色水遊びが大切である。
それぞれの特質をもつ遊びと同等の存在感でいてほしい。
孤高のすばらしいものより、円環を生むものが必要だ。
そういうわけで、やり直しをお願いした。
2回目の設計は、それなりに、トーンの落ち着いた、
なじみそうなものだった。
まぁ、ええか。
そんなもんかもしれん。
とそれなりに納得して、Goをだした。
ところが。
ある幼稚園の公開保育にいって、すばらしいものを見てしまった。
それは、人工芝でできた滑り山とセットになった大型遊具であった。
ある研究結果で、子どもの運動量を導くダントツトップは、
滑り山であることを思い出した。
子どもたちは、滑っては上り、滑っては上りを、延々と繰り返しており、
また、その山にねそべる姿も非常に気持ちよさそうであった。
これしかない。
というわけで、これまでの議論をチャラにして、
一から設計しなおしてほしい、
とお願いした。
怒ったね。
そりゃそうやろう。
本当に申し訳ない。
しかし、こちらも目ん玉飛び出るような買い物やけん、
妥協はできん。
そうして、再議論の末、今回の遊具の設計がなされた。
3回目の設計図を見たとき、私は、正直驚いた。
遊具が二手に分かれた予想外の設計で、
見た瞬間ビンゴ!
というものであった。
Kさんよ、本当にありがとうございます。
現在工事中なのだが、
現場の方々の子どもに対する愛が非常に高く、感謝している。
子どものために、安全と冒険を保証するために、
細かいところに気を配り、臨機応変に対応してくださっている。
楽しみだな。
どんな物語が生まれるだろう。
遊具のすてき。