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子どものすてき
きらりと光る子どもたちの姿をみなさんにお届けします。
2024年5月30日
知的会話 ・・・5歳児

転園してきた5歳児のTくんと、初めて話をすることができた。

きっかけは、彼の虫の発見である。

 

「なんか、アリみたいな羽があった。

羽は、こんな形で光ってた。」

見つけた場所からいって、ジバチだろう。

「あぁ、それはきっとジバチだね。この下によく巣を作ってるよ。」

てな、ところから虫談義になった。

 

「ね~、一番よく働く虫って何か知ってる?」

と、彼が聞いてくる。

「一番よく働く虫?」

「うん。それはね、アリとね、ハチ。」

「あ~、ナルホド。

それがさ~、ハチとかすごくてさ~。

知ってる?あるハチなんかさ~、イモムシの幼虫に卵産み付けてさ~、

それがイモムシのなかで孵って、中を食べて出てくるのよ。

すごくない?」

と、以前に見たDVDの話をしてみせる。

周りの子は、うへぇ、と聞いていたが、T氏は、とまどったようだ。

 

「なんか、話がすごすぎてわかんない。」

 

私は彼のこの言葉を聞いて、非常に高い知性を感じた。

その事柄は僕の理解の範疇を超えているが、きちんと分かりたい、

という意志を感じたからである。

 

そこで私は同じ話を繰り返し、

「いやはや、虫の世界ってすごいんだよ。」

というと、彼は、世界は一つだと主張した。

「この世界はね、」と両手を広げながら、

「一つなんだよ。」と言った。

 

私は、彼の言葉や姿勢の一つ一つに、

世界を想う真摯な保護者のまなざしを感じながら、別の論点で話してみた。

 

「うん、確かにそうなんだけど、

世界はいくつかに分けてもみることもできるんだよ。

私たちは、人の世界に生きていて、虫たちには、虫たちの世界がある。

Tくんは、もしかしたら今まで人の世界だけにいたかもしれないけど、

ここは、虫たちの世界もあるとこなの。

ここは、虫の世界と人の世界がいっしょにある場所。」

 

だから、とても豊かな場所なんだ、という言外の意味を、

彼はしっかりと感じてくれたようだった。

 

君みたいな子が、そのまま育ってくれたら、

きっとすばらしい研究者になって、自然を支えてくれるかも、

と静かな喜びが胸に沁みた。

 

一緒に、いろいろと発見していこうね。

 

子どものすてき。

 

 

 

 

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