H氏が登園してくる。
あと5分で、クラスに移動というところで、
預かり保育の部屋に入ろうとする。
「ちょっと待った。」とそれを阻止する。
今、部屋に入ってなんか始めたりなんかしたら、
君は到底クラスへはたどりつけまい。
「もう、あやめ組さんに行こう。
こっち入らんと。はい、上、上。」
するとH氏は、身体をだらんと脱力させ、
「疲れた。
もう動けん。」
という。
「なに、動けん!
じゃあ、立っちょこうや。」
と言って、その場に二人で立つ。
・・・。
何の図やろうね。
すると、「おんぶ」という。
「何!それはもう、絶対に無理。無理よ!」と答える。
まず、私の身体能力的に無理やがな。
そして、君には「その無理」とかいうところをもうちょっと乗り越えて欲しいのよ。
「これ持ってあげるから。」と荷物を一つ受け取り、
手をつなぐ。
「ほんじゃ、ちょっとずつ行こうや。」と手を引くと。
ずり。
と動く。
つまり、足は全くあがらない、膝も全く曲がらない「ずり」である。
「よしよし、それで行こう、それで。」
と私も「ずり」と動く。
H氏は、「ふや~ん。」と言いながら、「ずり」と動き、
二人でずりずり動く。
これはこれで、疲れる。
二人でやってられるか、という気持ちになり、
ちょっと足が浮く。
そうして、やっと階段にたどり着く。
そこで、私は気になっていることをH氏に伝える。
「あのさ、まみこ先生、2歳さん、置いて来てるのよ。
もう、何するか分からんから、心配でさ、
早く戻りたいのよね。
頑張って。」
というと、なんと、H氏の足はすっかり動くような感じになった。
分かってくれるんやん。
と嬉しくなるドウモトマミコ。
そんなわけで、彼の身体に力は全く入ってなかったが、
予想以上に早く上にたどり着き、
「はい、よく頑張りました。」と別れを告げ、
猛ダッシュで下に戻ったのだった。
子どものすてき。