上の息子が、「遠足に行かない」と言い出した。
なぜなら、自分は天狗高原に行きたかったのに、
それに決まらなかったからだと言うのだ。
「タダのわがままじゃんか。」
高3でそれか、と心底あきれる。
弟が隣で、兄わがまま説にうなづいている。
そして兄は、バーベキューにも大反対で、
天狗高原でソフトクリームを食べればいいじゃないかと主張し、
どの班にするかのアンケートでは、
企画にない9班目を自分でつくり、そこにチェックを入れたというのである。
全く、準備する方には、はた迷惑な話である。
しかし、彼はそれを消されて適当に班に入れられたことに憤慨する。
「勝手に班にも入れられてさ~。
8班までなんだけど、9班、
て書いて○書いといたのに、
勝手に消して、別の班に入れてさ~。」
「それは、優しさでしょ。
また、堂本が変なこと書いて、めんどくさいって、
ここでいいやって、入れられたのよ。」
「そうだよ。
だけど、9班て書いとけば、不参加ってことなんだから、
肉とか余分に買わなくて済むじゃん。」
「そんなあんたの気遣いは、誰一人わかんないよ。
まぁた、めんどくさいことしやがってとしか、思われてない。
あんたさ~。会社では絶対に生きていけないね。
自分の企画が通らなかったら、
仕事やりませんって、もう最悪。」
「仕事ならやるよ!
これは、遊びでしょ。遊び!」
「授業だろう。」
と弟がぼそっと呟く。
「そうだ!授業だ!」
と母が勢いづく。
「・・・・。
だいたい、先生もさ~、
最後になんか一緒に料理つくれっていうんだよ、
なんでもいいから。」
「それは、お母さんはすごく賛成。
だいたい、あんたなんかソーセージしか焼けないんだから、
何かつくればいいのよ。
で、バーベキューがそれなの?
焼くだけじゃん、それ料理?」
「いや、焼きそばとか、
バームクーヘンとかもやったらしい。」
「いいね~。すごく楽しそうじゃん。」
「楽しいかもしんないけどさ~。」
と、
「バームクーヘンって、買ったほうがよくね?」
と弟がつぶやく。
「それな!」と兄が喜ぶ。
「もし、ヘンなのができたらどうすんだ。」
と弟。
石橋を叩いても渡らない、合理主義の個性を発揮する弟。
ちなみに兄は、石橋を叩いて壊し、
河に流されて、岸辺から歩いて戻る男である。
そういうわけで、兄はきっと遠足に行かないだろう。
行ってくれると嬉しい。
(で、結局行かなかった。そして、PTA役員会で父は、
それが大きなうわさになっていたことを知った。)
その昔、東京で上の子の卒園時にクラスでTシャツを作ってくれて、
私一人、「買わない」にしており、
「あの~、堂本さんだけ買わないんだけど・・・。」
と、困惑顔で言ってくれたママ友を思い出す。
えぇ!
と驚いて購入した私も私である。
家族のすてき。