第2期は、それぞれの楽しさを後回しにできる時期である。
抱っこやぐるぐるやいろんなコミュニケーションを楽しみにするようになると、
「後回し」が可能になる。
そうすると、断固として「荷物が終わらないとしない」という姿勢を示すことができる。
ちなみに、抵抗勢力予備軍である彼らであるから、
なかなかにシワイ。
「わかったわかった。」と譲歩することもあれば、
決裂して間を置き、担任にタッチするということも多かった。
気持ちを切り替える、という点で人が変わるというのは、大変有効である。
一人で、何でもしようと思うのは、どだい無理だろう。
一人しかいない場合は、時間を置くことが有効である。
あっちもあの手この手。
こっちもあの手この手。
そうして、第3期がやってくる。
第3期.
これは、朝の準備はするもんだな、とわかる時期である。
どんなに抵抗しても、「自分でするもの」としてのあきらめが定着する。
そうすると、こちらは「待つ」ということができる。
この時期、シワイ子どもたちの行動には、驚くほどのムラがある。
卒園児の抵抗勢力たちもそうであったが、
どの子も生活技能自体は長けている子が多い。
手順もわかり、その通りに身体が動く。
だから、「する」と決めたら驚くほど、早い。
おねがい。
そうして、毎日。
という願いを込めて、こちらとしては、大変大げさにほめるわけだが、
客観的に見れば、そんなふうにさっさっとすれば心もすっきり、
いっぱい遊べるのにと思うが、本人がそれを実感するまでには、
驚くほどのもやもやとうつうつが必要であるらしい。
そして、それに自分自身飽き飽きしないと、前に進めないのである。
世話がやけるのう。
この第3期と並行して、
幼稚園生活への慣れと楽しいお友だち関係が育ってくる。
そうすると自由を手にして、友だちと楽しく遊ぶことを選ぶ姿へと変わっていく。
こうなると、朝の準備は、子どもたちに定着していくというわけである。
この第Ⅰ期から3期は、どの子も通ることが望ましい。
「いい子」も実は求めている。
このクラスは、男子の方がきちんとしていて、
いつもサッサッと済ませて遊びに向かっていたが、
私とシワイ子どもたちのぎゃぁぎゃぁ言うコミュニケーションをずっと横目で見て、
うらやましいと思っていたらしい。
しばらくして、わざと荷物を遅らせて、それを求めてくるようになった。
そのうちの一人は、大変しつこかったが、
それに応えているうちに、驚くほど表情が変わった。
その柔らかく、素直さに満ちた笑顔を見ると、
これまでの厳しい顔がよけいに印象深く思え、
この子のこの柔らかな表情を守らなければと思った次第である。
毎日から、いろいろと深く学ぶことができた。
保育のすてき。