幼稚園という場所は、子どもにとって社会の場であるから、
そら、いろいろ大変である。
大人の職場とそう変わらんところもあるだろう。
そういうわけで、子どもたちも気持ちの切り替えがいる。
それが、8:30という決まった時間にできるというわけではあるまい。
そんなわけで、毎朝先生とすったもんだしているL氏である。
先生は、実に彼の気持ちを受けとめ、押したり引いたりしながら、
彼を盛り上げ、促す。
このすったもんだを外したら、彼はどうなるか、どうするのか、
確かめたい気持ちが、ある日ふつふつと起こった。
このT先生との贅沢な時間は、進学したらまず望めないからである。
そこで、T先生に、
「ともかく、なんも言わんかったらどうするか見てみよう。」と持ちかけた。
だが、その日は卒園アルバムの写真を撮る日だった。
さすがに、「そこは予告しとかんといかんね」ということになり、
〇時になったら写真撮ること、その他を予告し、
「先生待ってるからね」ぐらいを伝えて、彼に任せてみた。
すると、彼は予告時間の15分前に、自ら気持ちを切り替えて、
朝の身支度に向かったのだった。
おおおー!
と、隣のクラスのT先生も含め、その時の関係者はみんな思った。
それと同時に、全員が同じことを思ったことがわかった。
「めっちゃ褒めていいもん?」
そういうわけで、それぞれがそれぞれのかかわりの場で、
偶然にも、めっちゃ褒めることを遠慮したのだった。
これには驚きだったが、それだけ彼の過程を共有しているとも言えた。
結局私たちの迷いの中身は、ものすごく褒めたいけど、
これは日常の当たり前の一コマですよね、
というふうにすべきじゃなかろうかとどことなく思う、
ということだった。
そんなわけで、私たちは、「実はできる彼」という視点を取り入れることができ、
次への援助に向かっているのだった。
せんせいのすてき。