私には、Nちゃんという後輩がいる。
彼女は、ものすごく恥ずかしがり屋さんである。
そして、ものすごく負けず嫌いである。
この負けず嫌いを、彼女は正しく出す。
「誠実」というかたちで。
彼女は保育者だが、
およそこの職業は、彼女にとってハードルが高いことばかりではなかったか。
たとえば、人前で踊るとか。
しかし、彼女は、たくさんの人がいても、子どもと踊っていた。
職業ってすごいな、と思った。
場合によっては、あらゆることを乗り越えさせるパワーがある。
彼女は、ある有名な幼稚園で保育者をしている。
とてもやりがいのある職場である。
彼女にとっては、臆するところもあったかもしんない。
それを彼女は人の目には見えないところで、
じっと努力を重ね、乗り越えていった。
どんなときも、欠かさず、毎日毎日、記録を書いた。
自分の保育を振り返り、明日につなげていった。
電車のなかで、何気なくそれを聞いて、すごいな、と思った。
そして、先日、彼女の保育を見た。
就職してから、およそ10年? 15年かな。
それは、とてもすばらしかった。
私はいつも、子どもと保育者はスパイダーマンのような糸でつながっていると思っている。
いや、つながっていなければならないと思っている。
伸びたり、縮んだり、抱きしめたりしながら、一人残らずと。
その糸が、見えた。
透明感のある、美しくてやさしい色をした糸だった。
子どもたちは、「Nせんせい、Nせんせい。」と実によく名前を呼んでいた。
それは、自分たちの遊びについて、
共に考えてくれる強力な対話者として、彼女を求める声だった。
そこには、確かな信頼関係があった。
実際、保育室で展開されていた遊びは、創意工夫にあふれ、
子どもたちは、実に心地よさそうに、
自分たちのやっていることに、向かっていた。
おまけに、Nちゃんは、めちゃめちゃピアノが上手になっていた。
信じられんほどに。
誠実さこそが、何よりも尊いものだと、学んだ日だった。
Nちゃんのすてき。