私の恩師は、小川博久先生である。
幼児教育学の祖とも言われ、
現場を愛し、現場と共に走り続けた方で、
先日、享年83歳でお亡くなりになった。
具合が悪くなられてからはあっという間で、
最期の最期まで、保育の未来のために、
子どもと保育者のために、戦い続けて下さった。
今の保育学会は、学会と言うより芸能人とファンクラブ、
みたいになってしまっており、研究の質もびっくりするくらい低くて、
ある先生は「日本語大丈夫ですかと言いたい」と憂いていたが、
そんななかで小川先生は、稀に見る武闘派で、
ある意味では武闘派に過ぎたが、その生き様には尊敬の念しかない。
今の若草幼稚園が、「遊び」を「保育」として営めているのは、
小川先生の理論があったからである。
保育者と子どもが響き合い、
子どもと子どもが響き合える環境の構成は、
小川理論によるものであり、
若草幼稚園は、これをべースとして、保育を展開している。
また、「憧れが学習の動機を形成する」という小川理論を軸に、
保育者のモデルの大切さや、
異年齢のかかわりを視野に入れたカリキュラムの編成を行っている。
個人的には、私の人生をかたちにして下さり、
若草幼稚園の保育をこれからも支え続けて下さるであろう小川先生を偲んで、
思い出を少し、記していきたいと思う。