若い人たちがうらやましいな、と思うことの一つに、
読んでない本がたくさんあるということを思う。
「モンテクリスト伯」にわくわくし、
「砂の女で」で、こわぁ・・・、と女の怖さに感じ入り、
「怒りのぶどう」で、「人間」の力強さに感動する。
熱く、濃い魂を、本を通していくらでも感じられる。
最近は、文学を読む体力がなくなり、
実益主義に成り下がってしまったが、
学生時代、文学は私の血であり、肉であった。
「全然、読んでないでしょう。
夏目漱石とかさぁ、芥川龍之介とか、
三島由紀夫とか、すごいよ。」
と我が家の食卓での会話。
『「うらしまたろう」とかより、すごいの?』
と、18歳の息子が言う。
「一緒にするんじゃない。」
「何を言う。うらしまたろうは、実はすごい話なんだ。」
「はぁ、まぁ、ねぇ・・・。」
ちなみに彼が読んでいるのは、
銀魂の文庫版とか、ネット小説ばかりである。
「モンテクリスト伯、読みなよ~。
あれなんか、めっちゃおもしろいよ。」
「シンデレラより、おもしろいの?」
一緒にすんなや、だから。
息子のすてき。