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日々わくわく
せんせいのすてき
毎日踏ん張り頑張る先生たちのすてきを綴っています。
2015年11月11日
幸せのかたち

 

私の父は、2年前に脳こうそくで倒れ、

しゃべることも、動くことも、できなくなった。

まだ、72才。

家にもどってきてからの一年で、お昼ご飯だけ、

離乳食のようなものを食べることができるようになった。

 

母と妹と私の3人で介護にあたっているが、

密度や段取り力その他で、われわれにも役割分担と言うものが自然に生まれていった。

看護士に例えると、諸々の能力を鑑みて、妹が士長で母が主任、平が私である。

ちなみに、平が一番えらそうであるところが、みそである。

この間も、お茶を飲ませるときは、

こうこうでこうこうこうで、こうこうこうこうと母が言うので、

「そんなもんわからん、それはいつものときに主任がやって。」などという平である。

しかしながら、平は淡取りの名人でもある。

しかしながら、リハビリにもっともやる気がない。

 

日曜日のお昼、私は父に昼食を食べさせる。

作るのは母か妹である。

この時間に、なんとNHKラジオで「のど自慢」をやっている。

これに現在はまっている私と父である。

それにしても、県民性というものは出るもんだ。

先日の、長野県はめっちゃ上手やった。

「お父さん、どこやったっけ、めっちゃへたやったところあったよね。」

というと、

「んー。」

と相槌をうった。

おぉ。覚えてた。

九州の・・・、どことは言うまい。

 

きーん、こーん、という鐘に、

「えー、なんでよ。」

とか、

きんこんかんこんきんこーん、と鳴ると、

「おぉ。やっぱりねー。」

と私は一人しゃべり、父は黙っている。

そして、リハビリも兼ねている食事を頑張る。

ときに、詰まらせたりもする。

 

そうして、父と私の静かな時間が流れる。

 

幸せとは何か、さっぱりわからないが、

父と共に、死の際を戦ってきた私たち。

そして、今を生きる父。

とりあえずの安心で包まれている私たち。

 

静かな時間。

 

幸せのかたち。

 

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