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日々わくわく
せんせいのすてき
毎日踏ん張り頑張る先生たちのすてきを綴っています。
2016年2月21日
葛藤の狭間で生まれる芸術

 

「本当に、うちでいいんですか。」

 

これが、しょっぱなの私の返答だった。

写真家の篠木さんに、

定期的に園に来てもらう話が持ち上がった時のことだ。

 

篠木さんの写真は、泣ける。

何に泣けるかというと、子どもの魂の力強さと美しさである。

私は、この写真は、昭和初期に生まれた人だからこそ、

撮れるものだと思った。

子どもは現代の子だが、撮る人間のまなざしが現代ではないということである。

是非、現代書館から出版されている「こどもは・・・」を見てほしい。

といっても、ネットで今や1万円以上しますけどね。

 

みなさんは、松田優作の若いころとか、

萩原健一の若いころとか、ご存知だろうか。

名前も知らん?

いやぁ、今の化粧が似合う男とは、全然違います。

男です。

野性まくりです。

篠木さんは、年を重ねちゃったので、野性まくりではない。

 

まぁ、それはよかろう。

 

魂が、太くしなやかに動く人間にしか撮れない、

子どもの一瞬。

 

園長3年目のそのとき、私はまだ自分の園に違和感を持っていたから、

正直、彼のまなざしに見合う子どもたちの姿があるのか、

確信がなかった。

 

一方で、篠木さんは、私の感じる心を信じてくれており、

私の心が深く動く写真を撮れるかどうか、

と、ご自身で思ってくれていた。

 

こうして、葛藤と創造の芸術的プロジェクトが生まれた。

 

真のまなざしというフィルターを通ることは、

どこかで身を切られるように辛く、

そして、あまりにもありがたいことだった。

 

篠木さんと奥様のブービーさんのまなざしは、

子どもの心の自由を即座に感じ取るセンサーであり、

私は、常に、まな板の上のコイ状態であった。

 

今でも、もちろんそうなんであるが、

今は、葛藤を超えた何かが、生まれようとしている。

それまでの間には、たくさんの、本当にたくさんの対話があった。

対話を重ねられる関係ほど、ありがたいものはない

 

子どもはどこにいても、子どもであり、

かけがえのない一人の人間である。

だから、どんな子どもにも、最高の一瞬がある。

それは間違いない。

 

けれど、そんなふうに輝くときとは、

どんなときなのだろうか。

それは、彼らの魂が自由に羽ばたき、

その心がシンプルな色に満たされているときではないだろうか。

 

躍動する身体に宿る心の色、

知的好奇心に満たされた心の色、

物事に集中しているとき、よろこびに満ち溢れたとき、

努力の結果が実り、達成感と充実感に満たされたとき、

そして、悲しみや怒り。

心がいろんなふうに染まり、輝く。

 

その輝きを生む条件というのが、やはりあるはずである。

そこに、教育の質が問われる。

 

というわけで、私はいつも、戦々恐々としているわけである。

はははは。

 

今度、3月3日から38日まで、

東京の新宿御苑、キタムラカメラのギャラリーで、

篠木さんの写真展が開かれる。

題して「働き者の子どもたち」。

人の生活を営む、ラオスの子どもたちの写真が収められている。

限りなく、子どもの可能性を開いてくれる写真展である。

きっと、子どもの生きる力の本質が、映し出されているだろう。

可能な方は、是非、見に行かれてください。

 

芸術は葛藤から生まれる。

だから、きっと若草幼稚園から、何かが生まれる。

 

の、はずであろう

さぶろうさんしろう。

 

 

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