ネット情報で水槽の環境を整え、いざ、へびを入れようとすると、
にょい~ん、にょい~ん、と這い出ようとする。
やめて~とびびる。
理事長がシマヘビをはたいた瞬間、シマヘビはしゅるしゅると引っ込み、
それからトグロを巻いて、一切動かなくなった。
その急激な変化に驚く。
「なんで、急に元気なくしたのかな。」
と理事長に聞くと、
「あのとき、水に当たったから、急激な体温の変化でびっくりしたんじゃない?
ほら、変温動物じゃん。」
あぁ、なるほど。
それにしても、この意気消沈ぶりは何なのか。
「引き籠もり」である。
あまりに繊細な反応であったので、改めて生き物の弱さを想い、
人と通じ合う何かを感じた。
さて、シマヘビ意気消沈3日後、
子どもたちのいない土曜日の午後にツバメの雛が落ちた。
毎年落ちるが、今年の雛は、生存競争に負けた救うべき憐れな雛ではなく、
ヘビの「餌」だった。
まぁ、なんてグットタイミングで落ちてくれたわけ、
と想いながら、まだうごめく雛を手に取り、
恐る恐る水槽に入れる。
入れる瞬間、雛が何かを察したように、反応を示した。
うっと、私の心がうなる。
そして、水槽の中で口を開け、瀕死の状態でうごめく雛を眺めた。
無理。
と、心がしゃべった。
幼い子どもたちを相手する職業であるだけに、
こういう感じは心に重すぎる。
そして、シマヘビは意気消沈に集中しており、
見向きもしなかった。
それで、雛は死んだ。
続く。